【ベトナム・ホーチミン】地元の熱気と香りが交差する「ベンタン市場」探訪記

ホーチミンの中心部、交通の要所にもほど近い場所にある「ベンタン市場」は、街のシンボルともいえる存在。観光名所として知られていますが、実は地元の人々の日常がぎっしり詰まった“暮らしの市場”でもあります。
朝の顔、昼の顔、そして夜の顔
ベンタン市場の魅力は、その表情の変化にあります。朝早くから営業しており、まだ日が昇りきらないうちから地元の主婦や料理人たちが食材を買い求めに集まります。鮮魚、野菜、ハーブ、調味料…どれも新鮮で活気にあふれ、まさに“動いている市場”。
昼になると、観光客で賑わい始めます。刺繍入りのポーチ、アオザイ(民族衣装)、ベトナムコーヒーなどのお土産が所狭しと並び、値段交渉も旅の楽しみの一つ。ベトナム特有の「値切り文化」を体験できるのも、この市場ならではです。
そして夜になると、市場の周囲には屋台が出現。バインセオ(ベトナム風お好み焼き)、フォー、チェー(ベトナム風ぜんざい)など、ローカルグルメが一気に花開きます。食欲と香辛料の香りが交差する夜市は、食の冒険心をくすぐられずにはいられません。
市場を歩けば、暮らしが見える
観光地として整備されつつあるベンタン市場ですが、今でも地元の人々が“日常”として使っている場所でもあります。たとえば、台所用品や衣類の仕立て屋、スパイス専門店など、観光客向けだけではない店舗も数多く並んでいます。
売り手とのやりとりもまた、旅の思い出になります。「どこから来たの?」「これ似合うよ!」といった軽い会話から、人懐っこい笑顔に癒やされることもしばしば。言葉が通じなくても、身振り手振りと笑顔で案外どうにかなるのも市場の魅力です。
ベンタン市場で見つけた“旅の宝物”
筆者が市場で手に入れたのは、手縫いのコースターと、小さなホーローの器、そしてベトナムのローストコーヒー豆。どれも日常的なアイテムながら、持ち帰ると旅の記憶をふと呼び起こしてくれる“宝物”になります。
市場は単なるショッピングの場ではなく、「その国に暮らす人たちの生活が詰まった博物館」のような場所。
ベンタン市場は、そんなローカルの魅力を肌で感じられる格好のスポットです。
おわりに
世界のどこを旅しても、市場にはその土地の“生きた空気”があります。ベトナム・ホーチミンを訪れるなら、ぜひベンタン市場を一歩、二歩と奥へ進んでみてください。そこには、観光パンフレットには載らないリアルな世界が広がっています